電子ピアノを選ぶ理由は、人それぞれだと思います。
という場合に気になるのが、電子ピアノでも本物の生ピアノに近いタッチ感や音かどうか、ということです。
でも、どの電子ピアノのカタログにも、”グランドピアノに近い”って書いてあって、本当のことはわからないわ…。
という方のために、今回は、電子ピアノの中でも生ピアノに近いタッチ感や音を持つおすすめの機種を紹介していきます。
カタログベースにある、「グランドピアノのような」という文言ではなく、現在販売されている電子ピアノの中で、確実に生ピアノに近いものを選んでいきたいと思います。
生ピアノに近い電子ピアノとは?
電子ピアノで演奏する時、主に3つの役割が機能します。
- 音源
- 鍵盤
- スピーカー
この3つの要素が組み合わさって、ピアノの表現力へとつながっていくのです。
ただ、値段も様々な電子ピアノですが、どこに差があるかと言うと、
- サンプリング音源のみか、モデリングか
- 樹脂製鍵盤か木製鍵盤か
- スピーカーの数が少ないか多いか
によって、生ピアノに近いかが決まり、値段も変わってくるのです。
音源→モデリング技術があること
音源には、大きく分けて、サンプリング音源とモデリング音源があります。
どのメーカーでも、下位機種はサンプリング音源。
録音した音をそのまま流すだけなので、響板を通して響くピアノ音を再現できません。
モデリング音源では、ピアノの発音原理をコンピュータが計算して出すので、より生ピアノに近い音を出すことができます。
音自体(弦)にモデリングを使用しているのは、ローランドのみですが、他のメーカーは、サンプリング音源と併用して、音の響きを表現する部分においてモデリング技術が使われています。
表 各メーカーのモデリング
YAMAHA | バーチャル・レゾナンス・モデリング |
KAWAI | SK-EXレンダリング音源/アコースティック・レンダリング |
ROLAND | スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源/ピュア・アコースティック・ピアノ音源 |
CASIO | AiR Grand音源 |
各メーカーでそれぞれ開発されていますので、このような記載のある機種を選べば、音源としては本物のピアノの音の響きにより近づきます!
鍵盤→木製かつ構造が生ピアノに近いこと
高級モデルの方が生ピアノに近づきますが、コストが高くなるのには、鍵盤の材質も関わってきます。
鍵盤には大きく分けて、樹脂製鍵盤と木製鍵盤に分けることができます。
- プラスチックで製造しており、生ピアノよりタッチが軽い
- 軽量化が可能で、安価で作ることができる
- 生ピアノと同じ木製を使用しており、タッチ感が生ピアノに近づく
- 連打性に優れており、20万円以上の機種に多い
生ピアノに近い電子ピアノとなると、やはり生ピアノと同じ鍵盤である、木製鍵盤を使用した機種になります。
もちろん、樹脂製鍵盤の中でもタッチが良いものもたくさんありますが、やはり本物のピアノとは違いますので、タッチ感が生ピアノに近いものを探しているのであれば、木製鍵盤から選ぶ方が本物に近いタッチ感を得ることができます。
また、同じ木製鍵盤であっても、よりグランドピアノのタッチに近づけている鍵盤が各メーカーから開発されています。
YAMAHA | ◎グランドタッチーエス鍵盤 ◎グランドタッチ鍵盤/88鍵リニアグレードハンマー |
KAWAI | ◎グランド・フィール・スタンダード・アクション ◎グランド・フィール・アクションⅢ |
Roland | ◎PHAー50鍵盤 ◎ハイブリッド・グランド鍵盤 |
CASIO | ◎スマートハイブリッドハンマーアクション鍵盤 ◎ナチュラルグランドハンマーアクション鍵盤 |
木製鍵盤の中でも、太字で書いたものが、各社の最高峰クラス。
よりグランドピアノや本物のピアノに近い鍵盤構造になっています。
スピーカー→数が多いこと
低価格モデルでは、スピーカーは左右に一つずつ、計2個ついていることが多いです。
しかし、高級モデルの電子ピアノになると、一番多いもので8個ものスピーカーがついています。
でも、小さい家だから電子ピアノでもボリュームは上げないから、スピーカーは2個でも十分じゃないの?
と思う方がいるかもしれませんが、電子ピアノでは、スピーカーの数が多いと、小さい音でも表現がつけやすくなる、というメリットがあります。
スピーカーの数が多いと、それぞれのスピーカーから違う音域の音が出るため、立体的な音色が聴こえるようになります。
そうすると、生ピアノのような表現力を持って演奏することができるのです(^^)
生ピアノに近いおすすめの電子ピアノ♪
それでは、生ピアノに近いおすすめの電子ピアノを、勝手にランキングでご紹介していきたいと思います。
1位 カワイ CA901
カワイのフラッグシップモデルの電子ピアノ、CA901。
カワイの電子ピアノは、どのランクのものでも鍵盤タッチにこだわっており、もちろんCA901は木製鍵盤の最上位である“グランド・フィール・アクションⅢ”を搭載しています。
この鍵盤は、グランドピアノの鍵盤構造と同じく、シーソー式になっており、鍵盤を押したときにハンマーが跳ね上がる感覚を再現しています。
この感覚が、まるで本物のタッチ感と感じる点なんです!
また、下位機種の鍵盤よりも、見えない部分の鍵盤の長さがしっかりあり、シーソーするための支点がグランドピアノと同等になるよう設計されており、本物のピアノのように鍵盤の奥の方で弾いても弾きやすいのが特徴です。
また、音源は“SK-EXレンダリング”を使用しています。
これは、世界的なコンクールやコンサートで使用されるカワイのグランドピアノ“SK-EX”の音をサンプリングし、さらに“SK-EX”の持つ音の響きをモデリング技術で音源に含めて再現。
では、何が違うのかと言うと、スピーカーの質と数です。
生ピアノでは、鍵盤を押すことでハンマーが弦を叩きますが、その弦の音を響板を通して響かせることで、壮大な音の広がりになるんです。
CA901は電子ピアノで唯一、背面に響板を設置。
スピーカーの音を響板を通して響かせることができるので、音の良さや響きが、他の機種とは全然違います。
スピーカーの数は、響板スピーカーも合わせて8個!
もちろん、上面放射スピーカーもあり、奏者は電子ピアノを通して響く音を感じます。
CA901は、質の良い鍵盤と音源、さらに響板スピーカーがついて、音に包まれる感覚を味わえる点が、一番本物の生ピアノに近いと感じました。
カワイの最高峰モデル、かなりおすすめです♪
2位 カシオ GP-510
カシオ|CASIO 電子ピアノ GP-510BP ブラック [88鍵盤]
カシオの本気の電子ピアノ、GP-510。
光るキーボードや計算機のイメージが強いですが、この電子ピアノは、生ピアノに近づけることに本気なんです!
むしろ、計算機を作ってきた会社とだけあり、センサーを開発する上で、電子工学的に有利であることは間違いありません。
まず、開発にあたって、世界三大ピアノのひとつ、ベヒシュタインとコラボしています。
音源も鍵盤も、ベヒシュタインと一緒に開発しています。
ベヒシュタインと共同開発した音は、ベルリン・グランドとして搭載されており、他にもハンブルグ・グランド、そしてウィーン・グランドの合わせて3つのピアノの音色で演奏できます。
ハイブリッドピアノなので、鍵盤構造はグランドピアノと同じアクションを入れており、天板を開けると、鍵盤を押した時にハンマーが動くのが見えるんです(*⁰▿⁰*)
鍵盤タッチだけであれば、GP-510が一番生ピアノに近い、生ピアノそのもののようです!
GP-510も、下位機種のGP-310と同じ鍵盤、音源を持っていますが、GP-310との違いは、外装の塗装、機構音システム、そして音の弦共鳴システム。
違いは少ないのでGP−310の方がコスパはいいですが、やはり、生ピアノにより近いという点で、音にまでこだわって電子ピアノを選びたい人には、GP-510がおすすめです。
3位 ヤマハ CLP-785
ヤマハの電子ピアノ最高峰である、クラビノーバの最上位モデル、CLP-785。
クラビノーバシリーズは、音源はほぼ同じになっていて、、クラビノーバの基本モデルであっても、バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)が搭載されていることで、グランドピアノの多彩な響きを表現しています。
サンプリングした音源も、YAMAHAのグランドピアノ「CFX」と、世界三大ピアノのひとつであるベーゼンドルファーのグランドピアノ「インペリアル」の2種があります。
鍵盤は、もちろん最上位の「グランドタッチ鍵盤」を搭載。
しかも、グランドピアノについている「カウンターウエイト」と呼ばれる鍵盤のおもりを鍵盤に搭載したことで、ピアニッシモのような繊細な音の表現がつけやすくなっています。
そして、何より素晴らしいのは、スピーカー!!!
CLP-785には、生ピアノの響板と同じ木材である「スプルース材」を使用したスピーカー「スプルース コーンスピーカー」が搭載されていて、音の広がりが生ピアノにより近づきます。
私が電子ピアノを選んでいる時に、一つ下の機種であるCLP-775も比較していましたが、スピーカーの質がいまいちかなと思っていました。
その点、CLP-785はスピーカーの質までよく、音の迫力も出るので、本当に生ピアノに近い!!と感じることができましたよ。
4位 ローランド LX708GP
ローランドの電子ピアノの中では一番生ピアノに近いのが、LX708。
ローランドの木製鍵盤は、表面に樹脂を使ったハイブリッド鍵盤。
木製のタッチ感と、樹脂製の耐久性を掛け合わせた、いいとこどりの鍵盤を開発しています。
LX708は、最上位の「ハイブリッド・グランド鍵盤」に、鍵盤の振動をデジタル制御で感じることのできる「鍵盤振動機能」がついていて、弾いた時の演奏感に生ピアノを感じることができます。
もちろん音源は「ピュア・アコースティック・ピアノ音源」で、表現力も高いです。
さらに、スピーカーが8個ついているので、音の迫力と立体感があります。
ここから注目!!
今回紹介するのは、島村楽器限定モデルのLX708GPです。
他のメーカーも楽器店とのコラボ版電子ピアノってあるのですが、LX708については、鏡面仕上げをやめたことで、価格を約10万円下げて販売!!
なので、めちゃくちゃコスパが良いんです。
ピアノの音がきれいすぎる点が、電子音に感じてしまい、クラシックには向かない面もあります。
「どんなジャンルにも合う生ピアノに近い電子ピアノ」としては、すごく価値の高い電子ピアノになると思います。
そして、島村楽器限定モデルであるLX708GPであれば、実勢価格42万円で購入できるので、生ピアノに近い電子ピアノを選ぶ時の比較対象に入れてもいいかな、と思います。
その他のおすすめ電子ピアノ
上記の4つの電子ピアノを選べば、生ピアノに近い電子ピアノであることは間違いないでしょう。
ただし予算が40万円~50万円と、かなり高額な電子ピアノになってしまいますので、最上位モデルではなく、予算30万円くらいまでで購入できる、生ピアノに近いおすすめの電子ピアノも紹介したいと思います。
ここからは、値段が少し下がる分、機能も下がりますが、コスパの良い機種が多くなるのが特徴です。
カワイ CA701
我が家が選んだ電子ピアノは、カワイのCA701。
もちろん、CA901の方が生ピアノに近く、響板スピーカーを通した音は、響きがまるで生ピアノでした。
しかし、予算が合わないことと、これから子供の年齢が上がるとともにヘッドフォンをして弾くことが増えることも考慮し、響板スピーカーなしのCA701に。
響板スピーカーがなくても、スピーカーの質が良く、音の響きや立体感が抜群。
さらに、鍵盤も電子ピアノの中では最高のタッチ感になっています。
それでいて、実勢価格は約32万円と、高額ですがコスパも良く、音とタッチのバランスの取れた良質な電子ピアノになっています。
ローランド LX706
ローランドの電子ピアノでは、個人的にはLX706が一番おすすめの電子ピアノになります。
最上位のLX708との違いは、スピーカーの数が6個に減ったことと、鍵盤振動機能がなくなったことのみ。
ヘッドフォンをつけて弾くことの多い人は、LX706がコスパが良く、おすすめになります。
ローランドの鍵盤タッチと、そのタッチに合わせて繊細に表現できるモデリング音源が魅力のLX706、おすすめです(^^♪
ヤマハ CLPー775
ヤマハからは、CLP775もおすすめになります。
上位機種CLP785との違いは、
- 鍵盤は同じ「グランドタッチ鍵盤」でも、CLP775にはカウンターウエイトがない
- スピーカーの数が少なく、スプルース コーンスピーカーもついていない
の2点ですが、やはりスピーカーの違いは大きく、比べてみてもCLP785との差は歴然です。
ただし、カウンターウェイトに関してはさほどの差は感じないことと、価格差が10万円近くあることを考慮すると、YAMAHAの電子ピアノを選ぶなら、CLP775も魅力ある機種であることは間違いありません。
カシオ GP-310
カシオのGP-310は、とても人気機種。
ハイブリッドピアノでありながら、30万円台で購入できるのが、この電子ピアノの魅力です。
GP−510との違いは、
- 弦共鳴システムがないこと
- 機構音システムがないこと
- 鏡面塗装ではなくなること
の2点ですが、やはり弦共鳴システムの働きは大きく、曲のレベルが音の広がりはGP−510が断然いいんです。
ただし、10万円以上の価格差となるのは、塗装費用も大きいので、鍵盤タッチの一番いいCASIOのハイブリッドピアノを選ぶのであれば、GP−310のコスパの良さがとても魅力になってきます( ・∇・)
まとめ
生ピアノと電子ピアノは、音を出すシステムが全く異なるため、生ピアノのような音の響きを電子の力で再現することは、本当に難しいことなんだな、と思います。
ただし、時代の変化とともに電子ピアノを選ぶ人が増えたこと、電子ピアノが生まれたことでピアノを弾く機械を持つ人が増えたこと、そして何より日進月歩の技術開発により、電子ピアノは20年前と比べて、性能もうんと良くなりました。
生ピアノに近い電子ピアノを選ぶ時は
- 音源にモデリング技術が使われていること
- 木製鍵盤を使用していること
- スピーカーは6個以上あること
この3点がとても大切になってきます*
生ピアノよりは安価で手に入れることができるとはいえ、まるで本物だと感じる電子ピアノは、やはり高額になってきます。
また、鍵盤タッチや音の種類は、好みもありますので、一概にこれが絶対にいい、というものはありません。
自分に合った、生ピアノに近い電子ピアノが見つかるといいですね( ^ω^ )
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